
今期業績について

前事業年度は、コロナ禍での行動規制が、顧客の営業活動自粛と現場工事の停止・延期に繋がり、先行きの不透明さから主要な取引先においては、足場部材の購入を控える動きが見られ、当社の受注環境は厳しい状況が続きました。当事業年度については、感染症対策への規制緩和が進み、新設住宅着工戸数も持ち直したことから、当社の受注は堅調に推移いたしました。業績については連結財務ハイライトの通り、売上高は2019年4月に取得した在外子会社が貢献し、2000年の株式上場以降では過去最高となりました。しかし、営業損益については、前年度より改善したものの赤字となり、経常利益は黒字を確保したものの、前年度はコロナ禍における助成金収入が大きかったため減益、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として投資有価証券売却益を計上したことから増益となりました。特に当事業年度においては、国内外とも施工スタッフの確保が厳しく、外国籍の新規採用者が入国できない状況が続く中で、建設需要が民間の工事中心に復調に転じたことから、国内では技能職の所得水準を引き上げるなど、より魅力的な雇用条件への見直しを図り、在外子会社においては、人財不足を補うためにコストの高い外注業者の利用を増やしたことなどから、それぞれ受注単価への転嫁に先立ってコストが増加することとなりました。
セグメント別状況について、足場の施工サービス事業では、大手ハウスメーカーからの注文住宅向けの受注が多くなり、中層大型建築物向けの受注は、ほぼ前年度並みになりました。
顧客からの施工依頼数は大きく回復しましたが、施工スタッフの採用環境は依然として厳しい状態であったため、施工力増強には至らず、結果として想定していた受注量の確保ができませんでした。このような中にあって、新たな足場施工の向け先として、土木とプラント向けの営業を推進し、その施工に協力してもらえる協力企業を増やすなど、人手不足に対応する取り組みに成果が出始めました。
足場部材を販売する製商品販売事業では、住宅を中心とした民間向け工事が堅調で、足場資材への需要も高くなったことから、主力製品である「ビケ足場®」の引き合いが増えました。また、これまで販路開拓に取り組んでいた効果が表れ、他社足場からの置き換えが進み、主要顧客においても決算期購入が増えたため、受注は好調に推移いたしました。
海外事業について、在外子会社のあるシンガポールでは、政府による感染防止のための行動規制が続きましたが、ほぼ全ての現場工事が停止した前事業年度に比べると大幅に規制が緩和され、事業である現場への人材派遣と各種工事とも人財の稼働率は回復し、受注も大きく増えました。しかし、年間を通じて入国制限が続き、さらなる受注を獲得するために必要となる外国人現場スタッフの採用が困難であったため、受注量は当初計画には届きませんでした。
なお、セグメント別の業績は、「セグメント別概況」を参照ください。



中期経営計画の進捗について

当社グループでは当連結会計年度を初年度とする第3次中期経営計画を立ち上げ、「既存事業の再構築と事業間連携の強化」、「新市場の創造と東南アジアでのビジネス基盤確立」、「未来社会に貢献するヒト創りと商品サービスの開発」、「ヒトとデジタル技術をつないだビジネス革新」、「ES(従業員満足)ファーストのガバナンス体制構築」を5つの重点戦略として設定し、将来を見据えた収益性の高い事業構造への転換を進めております。当期間においては、顧客の経営環境に応じた多様なニーズに対応できるよう、既存事業である足場施工サービス、仮設資材販売の営業面での連携を強化し、新たな事業である足場部材のレンタルについては、首都圏のレンタル専用ヤード開設、レンタル資材の提供・整備の効率化を目論んだ専門部署の設置を進めました。また、新市場の創造のため、既存顧客にも提供できるデジタル商材の企画・開発と販売促進に注力いたしました。その一環として、2021年9月に建設現場のデジタル化推進と土木業界での販路開拓のため、主に建設業向けにパッケージソフトウェアの開発・販売を行う株
式会社システムイン国際を株式取得により子会社化いたしました。その他、社会課題の解決と企業価値の向上を目指し、建設現場の安全のため、顧客や同業他社に向けた足場施工に関する教育事業を展開し、感染症対策用品を取り扱うECサイトの開設などを進めました。
次期の業績見通しについて
