top of page
topinterview1.jpg

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い社会経済活動の正常化が進んだことから、景気は緩やかな回復基調となりました。しかし、不安定な国際情勢、資源・エネルギー及び原材料価格の高止まり、世界的な金融引き締め、円安の進行や消費者物価の上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続きました。当社に関連の深い住宅業界については、資材価格の高騰や資材不足による工期延長、人口減少に伴う世帯数の減少等を背景として、新設住宅着工戸数は全体で減少傾向が続き ました。こうした状況において、当連結会計年度における当社業績は、売上高は、前期比で104百万円減少し、10,407百万円となりました。利益につきましては、営業利益56百万円(前期は営業損失63百万円)、経常利益37百万円(前期は経常損失1百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益60百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,016百万円)となりました。

 売上高については、足場施工サービス事業の販路拡大、当連結会計年度より本格始動したレンタル事業、シンガポール子会社の受注基盤拡大により増収となりましたが、2000年の株式上場以来最高となった前期から比べ微減となりました。しかし、営業利益においては、施工サービス事業部の値上げ交渉、シンガポール子会社の現場管理厳格化による採算性の改善や前期に減損損失を計上したことによる減価償却費の減少などの影響により、4連結会計年度ぶりに黒字に転じました。

 セグメント別の業績については、次頁のグラフの通りですが、足場施工サービス事業では、中層大型建築物向けの売上が微増となったほか、グローバル人財の積極受け入れにより特定技能などの人財拡充が進みました。利益面においては、物価上昇を背景とした業界及び施工スタッフの地位向上に向けた値上げ交渉の成果が第4四半期より出始めたものの、給与のベースアップや、レンタル市場の開拓を目論んだ部材の追加投入による減耗費の増加等もあり、当連結会計年度における利益への影響は限定的となりました。

 製商品販売事業では、鋼材価格の高止まりとそれに伴うレンタル需要の高まり、市場における施工人員の不足などから、市況全体で購買意欲の低下が見られました。このような状況の中、当事業においては、2024年問題の運送費増加・2024年4月の足場に関する法改正に伴う足場仕様が厳格化を見込んだ駆け込み需要による引き合いも見られましたが、前期では販売価格引き上げ前の一時的な買い増しの動きがあったことから、売上・利益ともに前期比で減少となりました。

 海外事業では、在外子会社のあるシンガポールにおいて、欧州及び中国の景気減速への懸念などを受けて、景気は鈍化しました。このような状況の中、当事業ではコロナ規制撤廃によるワーカー採用正常化により売上が拡大しました。利益面においても、現場管理の厳格化による採算性改善や受注構成の見直し、原価の見直しに加え、前期に計上した減損損失による減価償却費の減少などにより、大きく伸長しました。

■今期業績について

50中間連結財務ハイライト
20221223-153419.jpg
ハイライト.png

■第3次中期経営計画総括

 当社グループでは、当連結会計年度を最終年度とする第3次中期経営計画として「ヒト創りとデジタル技術の共進」を方針に掲げ、将来を見据えた収益性の高い事業構造への転換を進めてまいりました。  

 最終年度である当連結会計年度においては、適正価格受注に向けた値上げ交渉や施工パートナー企業との連携強化、次世代足場「レボ ルト」の認知度向上に向けたレンタル事業の拡充、足場の組立て等作業主任者等の技能講習提供を推進したほか、新たにデジタル事業部を発足し、社外向け業務改善ツールやデジタル商材の販売、社内向け議事録自動生成アプリ開発など、生産性向上の取り組みを進めました。海外事業においては、シンガポール子会社の現地日系大手顧客の獲得を行うなど、受注基盤拡大にも成功しております。また、人財定着・確保の観点から「ES(従業員満足)ファーストのガバナンス体制構築」に基づき、オープンバッジ制度を活用した社内教育等、人的資本への投資を行い、給与・手当制度の見直しを実施いたしました。  なお、次の事業年度より始まる新たな中期経営計画の詳細につきましては、後述をご参照ください。

■第4次中期経営計画の策定と

 次期の見通しについて

 今後の経済動向につきまして、地域紛争による国際情勢不安や各国首脳選挙、人口減少や不動産不況等に伴う中国経済の失速及び原材料価格の高止まり、米国経済の底堅さに伴う高金利政策の長期化等、依然として先行きは不透明な状況にあります。  

 また、国内では賃金アップによる人件費及び採用コストの増加に加え、いわゆる運送業の2024年問題等も相まって仕入コストが高騰しており、売価へ転嫁するインフレ傾向が表面化すると予想されます。2024年4月の足場に関する法改正に伴い足場仕様が厳格化していることから、特に低層住宅分野を中心に影響を受けると考えられます。更に、少子高齢化に伴う人口減少や熟練技術者の引退による労働者不足が想定され、人財確保に向けた取り組みが益々重要となっています。

​ これら国内外の経済見通しを踏まえ、当社グループでは次期より始動する第4次中期経営計画において「Reborn」のコンセプトの基、3つの重点戦略を設定しました。

①コア事業領域の深化

 当社のメイン事業である足場施工サービス事業、製商品販売事業、海外事業をコア事業領域と定め、業界の新スタンダードや規範づくりの先導・普及、新しいレンタルシステムの構築等に取り組んでまいります。海外事業においては、適正な施工人員枠の確保と戦略的な配置、エンジニアリング会社としての高付加価値化、受注構成見直しによる収益性向上に取り組んでまいります。生産性・技術・品質の差別化を図り、より高付加価値のサービス提供により業界をけん引する存在となることを目指します。

②新たな収益事業の創造

 デジタル・IT技術を活用した建設業界の生産性向上のためのプロダクト開発や販売や新住宅用足場の開発、東南アジアを中心とした海外人財の育成など、コア事業領域における課題の解決に向けたノウハウ・技術の探索・活用により、新たな収益事業を創造し、社会を変革するサービス・価値提供の実現を目指します。

 

③経営基盤の強靭化

 コア事業領域の深化と新たな収益事業の創造を推進するため、経営環境の変化へ柔軟に対応できる強靭な経営基盤を構築してまいります。従業員エンゲージメント向上に向けた新人事評価制度の導入やデジタル技術活用による業務負担軽減、管理コスト削減を進めるほか、製品の製造・生産における優位性を高めるため、海外パートナーとの共創体制によるサプライチェーンの構築に取り組んでまいります。

 

 これら3つの重点戦略を推し進め、建設業界へのイノベーション創出を通じ、継続的な事業拡大と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。  

 また、次期につきましては、引き続き施工サービス事業における適正価格受注や低層住宅業界を中心とした受注基盤の拡大、レンタル事業ネットワークの拡大を進めるとともに、シンガポールプラント市場でのエンジニアリング事業拡大、グローバル人財の将来を見据えた労働環境の整備、新住宅足場の開発及びデジタル事業展開のための受諾開発・デジタルコンテンツ開発、教育事業・SES事業の拡大などにも取り組んでまいります。

セグメント別概況
セグメント.png

アンケート

アンケートにご協力いただきありがとうございます。

bottom of page